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No 560 2019 年 1月 1 日 昭和 63 年 6 月 6 日 第三種郵便物認可(毎月 1 回 1 日発行) 日本野鳥の会 神奈川支部報 1月 2月 オシドリ/ 2018 年 11 月/ 戸塚区 /撮影:森越正晴(港南区) あなたの会費が、探鳥会や調査研究など支部の活動を支え、 神奈川の野鳥達 と自然環境を守っています。会員の継続をお願いします 2日(土) 鎌倉・散在ガ池 3日(日) 三番瀬 9日(土) 丹沢湖 10 日(日)定例(鎌倉・高麗山) 16 日(土) 湯河原・千歳川 17 日(日) 定例(二子山・県央 相模川上流 ) 18 日(月)鳥と花のウォーキング 伊東・大平の森 23 日(土) 江の島 24 日 (日) 東高根森林公園 25 日(月) 長浜公園 12 日(土) 江の島 /相模大堰右岸 13 日(日) 定例(鎌倉・高麗山) / 三渓園 16 日(水 ) 鳥と花のウォーキング 金冠山 19 日 (土 ) 新治市民の森 20 日(日) 定例(二子山・県央 和泉川 ) 21 日 (月) 子安の里 26 日(土) 葛西臨海公園 27 日(日) 北下浦海岸 ※ 2 月のよていひょうは 12 月号 15 頁の「探鳥会 予定表」に追加した行事 を含みます
No.560 2019 年 1月1日 は ば た き 第三種郵便物認可 2 山階鳥類研究所の創設者である山階芳麿博 士はかつて「野鳥保護の思想を一般の人に広 めるのには 100 年が必要」ということをおっ しゃっていたそうです。その 100 年が経とうと している現在、自然保護の必要性は一般の人 も理解するに至りましたが、現実には今も自然 環境が失われているのです。 会員の皆さんの中にはこの年末年始に野鳥 観 察に出かける方もいらっしゃると思います が、「どこどこに何々を見に行く」といった風 な探鳥をする方が多いと思います。それは特 定の場所に行かなければならないほど野鳥が 棲 す む環境が失われているということでもありま す。 その危機感があるからこそ私にとっても皆さ んにとっても、会員として日本野鳥の会を支え て活動して行くことが重要なのです。継続は力 なりといいますが、正に次の 100 年でさらに 多くの人が自然保護を親身に考える時代を作 ることが必要です。 神奈川支部の活動は「親しむ」「調べる」「守 る」の三本柱から成り立っています。親しむ活 動である野鳥観察から会員としてスタートした 方が多いと思いますが、ぜひともステップアッ プしましょう。野鳥や自然に関する知識を増や すことでも良いですし、調査活動に積極的に 参加することや身近な家族、ご近所、会社の 同僚などを誘って探鳥することも将来に向けて 大きな力となります。 新しい年は支部にとっても会員の皆さんに とっても楽しみながらステップアップする年と して行きたいと思っています。 (支部長 鈴木 茂也) 会員の皆さん、新年あけましておめでとうご ざいます。この年末年始を皆さんはどのように お過ごしでしょうか。平穏に迎えられているで しょうか。新しい年を迎えて意を新たにされて いる方もおられることでしょう。 さて私たちの神奈川支部は 20 年前には会 員数が増加し 4000 人に届くまでになりました が、その後のバブル経済の崩壊もあって、現 在は 2000 人に満たない会員数です。しかし、 会員増プロジェクトチームを中心とした役員の 努力もあって会員の減少には歯止めがかかり つつあります。その点はこの『はばたき』紙面 でも重ねてお知らせしてきました。また編集部 を中心にした努力の結果、支部報『はばたき』 の電子配信も始まりました。支部の活動も新 しい時代に入ったことを感じています。 一方で野鳥観察の愛好家や撮影者が増え、 それ以外の人の間でも自然環境の大切さが認 識される時代にもなりました。野鳥を趣味と することに関しては新たなブームが到来してい るのかもしれません。しかしながら、自然環 境の破壊は減ることがありません。政治家は 経済最優先を唱え、国際的な文化やスポーツ イベントを行うにあたっても経済効果を皮算用 する有様です。私は子供の頃に、諸先輩方か ら自然環境は「未来の人たちからの預かり物」 だから、大切にしなければいけない物である と教えられました。全くその通りで、私たちが 良い生活をするために浪費してはならないもの と思っています。 日本野鳥の会は、鳥と言えば「捕えて食べる もの」「捕えて飼うもの」と考えるのが一般的 だった時代に創設者である中西悟堂さんが発 信した「野の鳥は野に」の精神を旗印に自然 保護を説いた団体です。しかしながらその野 鳥が暮らす自然環境が今も減少していること に非常に危機感を持っています。 ステップアップの年にしましょう 171
No.560 2019 年 1月1日 は ば た き 第三種郵便物認可 3 裏山の博物誌 『おしっこを掛けられたらイボできる』子ど もたちの間でまことしやかに囁 ささや かれていたツ チガエルに関する誤解である。黒褐色で全身 にイボ状の突起があることが由来なのかもし れないが、実際手にすると尿をかけられるこ とがあった。それ故にアマガエルやヤマアカ ガエルは子どものおもちゃになったが、ツチ ガエルは「イボガエル」とも呼ばれ手を出さ ない子どもが多かった。 我家には小さな池があるが、知らぬ間にツ チガエルが住み着いたのは、小学校6年の 頃だったと思う。そのカエルが夜になると本 領を発揮して大きな声で鳴いた。その声は 「ギュー、ギュー、ギュー、キュッキュッキュッ キュッ」。時に「ギュウウウウ」などと突拍子 もない声を出すこともあった。「キュッキュッ キュッキュッ」という声は以前よりヨタカの声 にもちょっと似ていると思っていたが、実際 に裏山の川沿いで「あの声はヨタカですか?」 と質問するバードウォッチャーも現れた。カエ ルの声は雄が出すラブコールであるが、ツチ ガエルの繁殖期は5月から9月頃までと、他 のカエルに比べて長丁場である。従って我家 では初夏から秋口まで、その声に付き合わさ れた。ツチガエルの声を聞いて育ったと言っ ても過言ではない。我家の池では産卵もした し、小型のヘビであるヒバカリもツチガエル のオタマジャクシを食べるために住み着いた。 真冬に水底で冬眠しているカエルを見付けた こともあった。 裏山では森の中を流れる沢にい る。大抵は一匹で川面の方を向いて 岸に静止しているが、その色合いも あって目に留まらない事が多い。カ エルが跳び込んでから気付くのであ る。「チャポン」、そして淵を泳ぐ後 姿を見送る。 〔 5 9〕 「ツチガエル」 幹事 鈴木 茂也 ツチガエル ツチガエルは危険を察知すると水に飛び込 んで難を逃れるのだ。タヌキなどの在来の動 物はこれを深追いしないので、ツチガエルは 減少することもなかった。しかし、北米原産 のアライグマは水にも入るし、四肢も長く、ツ チガエルにとって脅 きょうい 威である。裏山でもアラ イグマに噛み殺されたと思われるツチガエル やトウキョウサンショウウオを見かけることが ある。今世紀に入ってツチガエルに出会う頻 度が低くなったように思うのは私の思い過ご しであろうか。カウントをしたこともなかった ので、今となっては検証のしようもない。川 筋で次々と飛び込むツチガエルを数えること など思いも付かなかった。 ツチガエルは他のカエルと違ってオタマ ジャクシでひと冬を越す。他の裏山で見られ るカエルが春に産卵して、夏にはカエルとな り上陸するのに、ツチガエルは違う。そして 卵塊の中にある卵が茶褐色なのも他とは違う。 異端児であるが私はこのカエルが好きだ。 裏山の沢には 40 年ほど前に砂防ダムが一 つだけ建設されたが、その上流は大きな淵と なり水流が滞った。そこはツチガエルの最大 の産卵場所となり、大量の土砂によってダム が浅くなった今も続いている。自然の淵にも 卵塊は見られるが、ダムほど多くはない。また、 裏山の谷ではしばしば崩落が起き、或いは大 木が倒れて天然のダムもできるが、そこも一 時的ではあるがツチガエルの大産卵場所とな る。だから私は崩落によって渓流に土砂が溜 まっても嘆 なげ いたりはしないし、美 観が損なわれるとも思わない。む しろその恩恵を授かる多くの生き 物に思いを馳 は せ、心躍るのである。

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